ラバーダム防湿
当院ではラバーダム防湿を推奨しています
ラバーダムとは
当院では、ほぼ全ての治療に「ラバーダム」を使用しています。この点は他の一般的な歯科医院との違いとなっています。
歯科治療をする時、歯の周りにかけるゴムのシートのことを「ラバーダム」といいます。ラバーダムは口の中から歯を隔離し、水分を防湿しながら清潔な状態を確保できます。よって歯科治療の効果を飛躍的に上げることができる「ラバーダム=ラバーダム防湿」は、当院で推奨している治療技術です。歯科治療で使用する薬剤や材料・器具などは、水分があると性質を下げてしまうものばかりです。
そのため、 ラバーダム防湿で口の中から歯を隔離し、水分を防湿しながら、また唾液などに含まれる細菌から隔離しながら、清潔な状態で治療を行うことはとても有効です。ラーバーダムの使用でよりよい口腔内の治療環境を保つことで、再治療の確率を下げることができます。


欧米の歯科医療先進国では当たり前に使用されている

本来ラバーダムが必要な治療(一部)
本来、ラバーダム防湿によって感染を防がなければならない治療は多くあります。
・根管治療
・修復治療
・その他
ラバーダムを行わないで治療をすることは、治療の成功率を下げる結果につながることは、データがある事実ですので、当院ではラバーダムを使用しての治療を推奨しています。ただ、患者様側で希望なさらない場合にはご相談ください。
ラバーダムのメリット
1.唾液を遮断して「感染を防ぐ」

- ラバーダム無し ・・・ 唾液が入るため細菌感染しやすい
- ラバーダムあり ・・・ 唾液を遮断し細菌感染を防ぐ
2.水分や湿気を遮断して「接着に有利」

- ラバーダムが無いと呼気に含まれる水分によって接着剤の性能低下につながる
- ラバーダムがあると呼気による影響を防ぎ接着剤の性能を発揮できやすくなる
3.隔壁を作っていることから「消毒に有利」

4.歯科医師が「治療に集中しやすい」

5. お口の中への器具の落下を防ぎ、口腔内を傷つけることを防ぐ
ラバーダムは、治療器具によって粘膜などを傷つけること、治療中に使用する機材の誤飲、などを防ぐことができます。 また、水がのどに入ってくることも防ぎます。
データで見るラバーダム・根管治療
ラバーダムを「必ず根管治療で使用」しているか?
日本では保険診療にラバーダムという項目が含まれていないためか、世界基準と比べると使用率は低いと言わざる終えません。保険項目に含まれていないラバーダムは、必要があまりない処置と捉えられがちです。しかし、歯科先進国のアメリカではラバーダム防湿を行うことは「義務」付けられています。ラバーダム防湿で口の中から歯を隔離し、水分を防湿しながら清潔な状態で治療を行う効果と必要性が認められているのです。
日本の一般的な根の治療の「失敗率」
日本の根管治療の成功率について、東京医科歯科大学のデータがあります。 があります。下のグラフは東京医科歯科大学むし歯外来で、根管治療のX線透過像を調べたものです。この調査から、根管治療を行った歯が、その後どの程度の割合で歯根部先端に膿を持っているかがわかります。結果として、「日本の根管治療の失敗率は50〜70%」であるということが判明しました。つまり、成功率は30〜50%ということになります。
諸外国の根の治療の「成功率」
日本とは違い、アメリカの根管治療の成功率は90%程度と言われています。ちなみに、AAE(米国歯内療法学会)では、ラバーダム防湿ができないむし歯(歯冠部が無くなってしまっている状態など)の場合は「抜歯適応」としています。このことからも、ラバーダム防湿の重要性がわかることと、そもそも、むし歯を進行させないこと、再治療にならないようにすることが大切であることがわかります。
根管治療成功のために大切な事
根管治療の失敗とはどのような状態かというと、消毒して封鎖したはずの根管内に細菌が感染することで起こります。この場合、そもそも根管内に細菌が残っていたか、何らかの経路から細菌が侵入したかによるわけですが、細菌感染がなければ発症することはありません。歯の神経をとる治療を「抜髄(ばつずい)」、すでに抜髄済みで、再度治療する治療を「再根管治療(さいこんかんちりょう)」と言います。再根管治療になると、最初の根管治療の時とは状況が変わり、細菌を完全に除去しずらくなり、根管治療の成功率はどうしても下がる傾向があります。 そのため、初めての根管治療をしっかりと精密に行うことが大切となります。