どのような場合に根管治療が必要?

どのような場合に根管治療をするのかについて

根管治療が必要なケースで最も多いケースが「むし歯」によるものです。むし歯は、エナメル質を溶かすところから始まり、象牙質へ、そして歯髄(歯の神経などがある部分)へと進行していきます。むし歯が歯髄に達してしまった場合には、「MTAセメントによって歯と神経を救える場合」と「根管治療をして神経は取るが歯だけは救える場合」があります。当院においてはMTAセメントを使用するという選択肢がありますので、可能な限り神経を残す方向で考えますが、残せない場合=根管治療となった場合には、歯髄の部分を除去し、根管内部を消毒した上で封鎖し、その後被せ物(修復治療)をします。また、根管治療済の歯の根の部分に炎症が起きて膿をもつことあがります。この場合には再根管治療が必要となります。


根管治療の必要なケース① 「歯髄炎」による「抜髄」を伴う「根管治療」

むし歯が進行し、エナメル質から、象牙質、そしてとうとう、歯髄(歯の神経などがある部分)に達してしまい、歯がしみたり、痛みが出た状態を「歯髄炎(しずいえん)」と呼びます。 一般的に歯髄炎になると耐え難い痛みを伴う (中には慢性化して痛みの少ない方もいらっしゃいます)こともあります。

このような場合には「抜髄(ばつずい=神経を取る)」を伴う根管治療を行います。


根管治療の必要なケース② 「根尖性歯周炎」による「再根管治療」

過去に根管治療を行った歯や、外傷などによって神経がしんでしまったままになっている歯などが、細菌に感染し、歯の根の先端部分=根尖に膿を伴った状態を「根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)」といいます。

鈍痛や、時には激しい痛みを伴うことがあります。根尖性歯周炎は、まず自然治癒は期待できないため、再根管治療が必要となります。 


根管治療の予後と修復治療の関係

 根管治療を行うことになった場合、その後に行う「修復治療の質」が、治療後の予後(よご=今後の病状についての医学的な見通し)を左右します。 

1995年、RayとTropeにより、Temple大学で疫学研究が行われました。根管治療の質と修復治療の質、そしてその後の根尖病変の有無(根管治療、修復治療後の予後を見て治療が成功したかどうかを判断)を比較しました。この研究によると、根管治療の質だけでなく、根管治療後の修復治療の質がその後の予後を大きく左右していたのです。

つまり 「質の高い根管治療を」行い、その後は「質の高い修復治療」を行うことで、歯冠側からの細菌の侵入を抑え込み、細菌感染の再発を防げるようになる という事です。

むし歯が進行して根管治療に至るまで

C0 – 健康な歯

歯の構造としては、一番表面が硬い「エナメル質」、その内側に「象牙質」、中心に「歯髄(歯の神経などがある部分)」があります。C0では、むし歯も再石灰化し治癒することが期待できますので「要観察」です。

C1 – エナメル質のみが侵されたむし歯

C1は、歯のエナメル質に穴があいてしまったむし歯です。自覚症状のないことが多く、気づかないうちに進行してしまうことがあります。 C0~C1 のうちに早期発見・早期治療できるかどうかが大切です。C1では、むし歯を丁寧に削り取り、「充填」や「詰め物」で修復します。

C2 – 象牙質のむし歯

C2は、象牙質まで穴があいてしまったむし歯です。むし歯が象牙質まで進行すると、冷たいものがしみたり、熱いものを食べて痛みを感じたりもします。象牙質はエナメル質より柔らかいため、むし歯の進行も早く、すぐに治療が必要となります。むし歯の部分を大きく削り、詰め物や被せ物で修復します。

C3 – 歯髄まで達したむし歯

C3では、歯髄(歯の神経などがある部分)にまで、むし歯が達した状態のことです。ズキズキとした痛みや、場合によっては、夜も眠れないほどの痛みが出ることもあります。C3では、歯髄の部分=歯の神経や血管などを取り除いて、根管内を消毒して封鎖する、いわゆる「歯の根っこ」の治療である、「根管治療」が必要となります。根管治療を完了させてから、被せ物をします。

C4 – 歯の根の部分まで侵されたむし歯

C4は、むし歯によって、歯ぐきから上の歯がほとんど無くなってしまった状態のことをいいます。C4では、神経も死んだ状態で、痛みは感じなくなりますが、歯の根の先の方が膿んだり、歯を支える骨(歯槽骨)が退縮したりといったことが起き、強い痛みが出てくることがあります。C4では歯を残すことはできず抜歯となりご自分の歯を失うことが多くなります。また、歯科医師によっては「即抜歯」と診断することもあるでしょう。C4まで進行してしまった場合には、歯科医師の根管治療に対する治療技術、根管治療の方法、治療の質、治療に使用する歯科材料などによって、歯を救えるかどうかが左右されるといっても過言ではないでしょう。